屋外イベントで使用される照明演出の種類と、その特徴
屋外イベントで使用される
照明演出の種類と、その特徴
野外フェスのような屋外イベントでの照明効果は、ただ明るくするだけでなく、音楽や雰囲気に合わせて空間全体を演出し、来場者に最高の体験を提供するために不可欠です。屋内の照明とは異なり、自然の風景や空の色、天候なども考慮しながら、ダイナミックな効果を生み出すことができます。
ここでは、フェスなどの屋外イベントでよく使用される照明効果の種類と、その特徴についてご紹介します。
1.ベース照明・環境照明
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イベント全体の明るさを確保し、安全性を保ちながら雰囲気を作る基本的な照明です。
⚫︎ 投光器(Floodlights): 広範囲を均一に照らすための一般的な照明です。会場全体や通路、飲食エリアなどを明るくし、視認性と安全性を確保します。色温度を変えられるLEDタイプもあります。
⚫︎ LEDパーライト(LED Par Cans): 小型で軽量、消費電力が少なく、様々な色を表現できる汎用性の高い照明です。ステージの背景を染めたり、会場の木々や建物をカラーウォッシュしたりするのに使われます。防水仕様が必須です。
⚫︎ ストリングライト・ガーランドライト: 小さな電球が連なった装飾的な照明で、会場の通路や休憩スペース、飲食エリアなどに吊るして、暖かくお祭り感のある雰囲気を作り出します。
2. ステージ照明・演出照明
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ステージ上のアーティストを際立たせ、音楽とシンクロしてイベントを盛り上げるための主役となる照明です。
⚫︎ ムービングライト(Moving Head Lights): ヘッド部分が360度回転し、光の向き、色、ゴボ(図形パターン)、シャープネスなどを瞬時に変えられる多機能な照明です。ダイナミックな動きと多彩な演出で、ライブパフォーマンスを劇的に盛り上げます。
・スポット(Spot): 鋭い光の束で、ゴボなどを使って様々な模様を投影できます。
・ウォッシュ(Wash): 広がりのある光で、ステージ全体や背景を色で染め上げます。
・ビーム(Beam): 非常に細く強力な光の束で、空中に光の柱を作り出すなど、視覚的なインパクトが大きいです。
⚫︎ ストロボライト(Strobe Lights): 短い閃光を連続して発することで、一瞬の動きを切り取ったような視覚効果を生み出します。ダンスミュージックなど、テンポの速い音楽と組み合わせると効果的です。
⚫︎ ブラインダー(Blinders): 非常に明るい光を瞬間的に放ち、観客を一瞬まぶしさで包み込むことで、ステージと客席の一体感を高めたり、曲の盛り上がりのピークを強調したりします。
⚫︎ LEDスクリーン・ビデオウォール: 照明器具というよりは映像装置ですが、LEDパネルを組み合わせて巨大なスクリーンを作り、ライブ映像、グラフィック、エフェクトなどを表示することで、ステージ演出の幅を飛躍的に広げます。照明と連動させることで、より一体感のある演出が可能です。
3. 特殊効果照明・環境演出
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会場全体を非日常的な空間に変え、来場者の体験を深めるための効果です。
⚫︎ フォグマシン・ヘイズマシン(Fog/Haze Machines): 特殊な液体を霧状にして空中に拡散させ、光の筋(ビーム)を肉眼で見えるようにする装置です。光の存在感を際立たせ、幻想的で奥行きのある空間を作り出します。
⚫︎ レーザー(Lasers): 緑、青、赤などの強力なレーザー光を使い、空中やスクリーンに様々な図形やアニメーションを投影します。サイケデリックな雰囲気や、未来的な演出に効果的です。安全基準に従って運用する必要があります。
⚫︎ アップライティング(Uplighting): 地面から上に向かって光を当てることで、木々、建物の壁面、モニュメントなどを下から照らし上げ、立体感やドラマチックな陰影を作り出します。カラーLEDを使えば、会場の雰囲気を瞬時に変えられます。
⚫︎ プロジェクションマッピング(Projection Mapping): 建物や岩、テントなど、既存の構造物をスクリーンとして利用し、そこに映像を投影する技術です。立体的な映像が構造物と一体化し、現実ではありえないような視覚体験を生み出します。
⚫︎ 水幕・ミストスクリーン: 水の膜や霧のカーテンに映像を投影することで、幻想的なスクリーンを作り出します。特に夏のイベントで、涼しげな演出としても人気があります。
選び方のポイント(屋外イベント特有)
・防水・防塵性能(IP等級): 屋外で使用する照明は、IP65以上の防水・防塵性能を持つものが基本です。
・明るさと視認性: 日没後や夜間の使用が主になるため、十分な光量があるか、遠くまで光が届くかを考慮します。
・設置の安定性: 強風などで倒れたり飛ばされたりしないよう、強固な固定方法(ウェイト、クランプ、安全ワイヤーなど)と構造計算が必要です。
・電源確保: 使用する照明効果の電力総量を正確に計算し、十分な容量の発電機や配電設備を準備します。
・環境への配慮: 光害(周囲への迷惑)や、野生動物への影響にも配慮した光量や指向性の調整が求められます。
これらの照明効果を組み合わせることで、野外フェスならではの開放感と一体感、そして感動的な体験を創り出すことができます。イベントのコンセプトや音楽ジャンルに合わせて、最適な照明プランを構築することが重要です。